音楽

Contract between VOICE and an affected girl Ⅱ ▽・w・▽

「VOICE」のMVでは、冒頭からいきなり謎が提示されます。

まず大きくタイトルの文字、その向こうには三つのシルエット。
もちろんPerfumeの三人です。センターにかしゆか、画面向かって左にのっち、右にはあ~ちゃん。
焦点が合っておらず、ぼんやりとした画面はしかもゆらゆらと不安定で、そのまま真ん中のシルエットに近づいていきます。
三人はそれぞれ両手に何かを持っているかのような形で静止していますが、手の中には何も存在していません。
大アップになって映し出されたのはかしゆか。
歌い出しの部分を歌い終わって目を瞑ると、なぜか右目から涙が出て、頬を伝い流れ落ちていきます。

三人は両手に何を持っていたのか、そして、なぜそのままのポーズで固まったままなのか、歌い終わったかしゆかはなぜ両目を瞑り、なぜ涙を流したのか。
この時点では、この映像を観ている我々には分からないままです。

かしゆかの頬を伝った涙は、地に落ちて水たまりとなります。
水たまりに足を踏み入れながら歩くかしゆかが登場。
かしゆかの美脚から体全体へパーンアップ、そのままカメラは画面向かって左側に歩くかしゆかの姿を追います。

この映像の中で、視点、つまりカメラの映し出す映像は、必ず左側に動き、画面の転換だけでなく時間の進行に対してもシンクロナイズしているようです。

歩き始めたかしゆかの背後には白と黒、ツートンカラーの壁が現れます。
白い壁に黒丸が、規則正しく縦と横のラインを揃えて描かれ、そのうちの一つは模様というだけでなく、黒い玉となって壁に張り付いています。
かしゆか、ちょっとわざとらしくその黒玉を発見。
壁から取り外し、不思議そうに眺めていると、今度は白壁に親切な矢印付きでちょうど黒玉が入る大きさの穴を発見、その穴に黒玉を投下。
カメラは1mほど離れた左斜め下にある、上部が半円状になった細長い縦穴を捉え、同時にその穴の中に黒玉と入れ替わるように古文書のような巻物が出現します。
かしゆかが広げてみるとそれは、間違えようがないほどシンプルな道筋の書かれた地図。
親切に「MAP」とさえ書いてあります。
どうやら宝の地図のようです。

画面が切り替わるように眠りの美女、あ~ちゃん登場。
大量の目覚まし時計によってお目覚め、ベッドを抜けだして窓のある部屋に移動すると、窓の向こう、外側をストーカーのっちが通りがかります。

ここでカメラは左側に移動、しかし、ここであ~ちゃんの部屋の窓を支点として、内と外が入れ替わります。
つまり、あ~ちゃんの居る部屋の中が窓の向こうに、のっちの歩いている外側が窓のこちら側に。
窓のこちら側に、画面の左側からのっちが登場、右側に数歩歩くと、窓の向こう側にあ~ちゃんがいて、二人はお互いに気づき、あ~ちゃんも外に出るために一端右側に姿を消します。
登場人物が右側に移動する唯一の場面ですが、あらかじめ説明したように視点が入れ替わってますので、時間の進行する方向にズレはありません。
ここでのっちが180°のターン。
このターンは視点の入れ替わり、であり、再び三人の座標と時間の進行方向は左となります。

のっちが左に向かって歩き、森の中へ入ってかしゆかと出会うともう太陽は高く昇り、青空が広がっています。
夜空に満月のようにも見えますが、あ~ちゃんのお目覚めの時間が8時で、その時窓の外には白い雲が見えてますから、のっちが森に向かっている間に朝から昼になった、と考えたほうが自然に思えます。

のっちはかしゆかと出会い、宝の地図を見せられます。
そこへあ~ちゃんが追いつき合流。
三人がようやく揃って、冒険の始まりとなります。

「VOICE」のMVは、まず白い世界から始まり、場面が転換すると一転して暖かい色合いで配色されたカラフルな世界に変わります。
カラフルな世界が三人の暮らす日常であるとして、あの白い世界は何だったのか。

カラフルな世界はとても明るい世界です。
かしゆかが水たまりを踏みながら歩くことで出現したこの世界には、三人が出会うまでの場面になるまでの間、一度も「影」は描かれていません。
背後にあった白黒の壁にかしゆかの影は映らず、あ~ちゃんを目覚めさせるために出てきた目覚まし時計にも影はありません。
照明はあくまでも全体に対してフラットであり、書き割りの背景と相まって、画面全体の密度は薄く感じます。

この場合の「影」、とは「影」として意図的に描かれる「影」、のことであり、照明によって自然にできる影とは違います。

前回取り上げた「不自然なガール」の中では、陰影のコントラストを、配色と照明の当て方によって作り出していました。
Perfumeの三人と不自然ガールズ、彼女たちが持つボード、には強い光が当てられていますが、画面の中には照明の光の届かない、薄暗い空間も描かれています。
また、二番の歌詞の歌い出しソロパートではボードに囲まれたのっちは薄い影をまとい、背後のボードにも黒い影が映り込んでいます。
「不自然なガール」のMVでは、強烈で濃い色を使った配色によるコントラストと、時折印象的に現れる「影」が緊張感を、背景全体を覆う黒色によって圧迫感がもたらされています。
映像の中に存在する緊張感と圧迫感が、恋愛感情の濃密さを描き出していて、この濃密さ、がのMVの特徴となっているように感じられます。

対して「VOICE」のMVの中では、ある場面(時間)に進行するまで、意図的に「影」が排除されているように見えます。
例外は、ストーリーの進行とは直接に関係の無いダンスシーンと、三人が街並みの書き割りを外れて、白い世界へ歩き自分たちのイメージと重なる(三人の足だけのボードと、顔から上だけのボード)シーンのみ。

白い世界から、地図にも書かれていた街に戻った三人は、やがて宝を見つけ、ダンスシーンを挟んで大はしゃぎで喜びます。
背後には冒頭で出てきた白黒ツートンの壁の拡大版のような書き割りがあり、宝物を抱えた三人に向かって倒れてきますが、ちょうどうまい具合に穴が開いていて、三人は揃って宝物を手に入れてハッピーエンド。

ハッピーエンド?

ここで、MVの最初の場面を考えてみなければなりません。
あの白い世界は何だったのか。

なぜ白い世界では「影」があったのに、カラフルな明るい世界には「影」が無いのか。

最初の場面の三人が、エンディングのシーンと同じポーズをしていることは、早い時期からファンからも指摘されています。
これが、始まりと終わりがほぼ同じ時間と場所である、と解釈するならば。
考えられることは一つ、映像が終わった場面から始めの場面へループしている、ということです。

ループによるネバーエンディングストーリー、という解釈では、三人は閉じた世界に閉じ込められて同じストーリーを永遠に繰り返すことを運命づけられていることになります。
閉じられた作り物の世界だから、「影」が無い、ということも考えられますし、目を瞑ったかしゆかの右目から涙がこぼれてしまったのも、そうした理由からかもしれません。

濃密な映像によって揺れ動く乙女心を描いた「不自然なガール」と比べて、「VOICE」のMVは暖色を多く使った配色、チープにも見える書き割りのセットを使って、宝物を手に入れるお手軽な冒険を描くように見えて、実は怖い童話のような世界を描いているのかも、しれませんね。

この、フリーメーソンの陰謀説なくらい怪しい解釈を信じるか信じないかはあなた次第 ▽・w・▽

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Contract between VOICE and an affected girl ▽・w・▽

10月も11日となり、Perfumeの「VOICE」が発売されてちょうど2カ月が経ちました。

さすがに上位に留まることは出来ませんが、今でも「575」と合わせた両曲ともレコチョクの様々なランキングのトップ100に入って、上下を繰り返しているようです。


もうひと月もすれば、現時点ですでに前評判の高い新曲「ねぇ」がリリースされるわけなんですが、このインターバルを使って、すでに発売されている「1053」アニバーサリーを飾る「新」三部作のうちの2曲をいろいろと比べてみようか、と思います。


今回のテーマはMV。

久々に「PVの歴史と変遷」を復活させて、両シングルCDの初回限定版に付属するDVD収録の2曲の映像を取り上げてみたいと思います。


どちらも監督が関和亮さん。

各時代のPerfumeの姿をジャケット写真やMV、あるいは写真集の中に収め、時の流れから切り離して永久保存する、チームPerfumeが誇る肖像画家のような映像作家です。


今回取り上げる2作では、関さんらしい映像表現の共通する部分と、それぞれのサウンドに対する世界観の解釈、みたいなものがよく表れていて、比較するにちょうどいいコントラストを見出すことが出来るんじゃないかと思います。


まず「不自然なガール」。

歌い出しパートでは、白と黒と赤、が配色されています。


背景の黒。三人の髪の毛の黒。黒い靴。画面に向かってストライプを描く床の模様の黒。

強調された三人の白い肌。床に描かれたストライプの白。

そして、三人が身を包む衣装とネイルの赤。


この場面ですでに関監督は、強烈な配色によるコントラストで、主人公の女性が抱える不安を描いています。

艶かしいほどの白い肌を色鮮やかな衣装でくるんでいても、彼女を取り囲むのは黒い影です。


歌い出しパートが終わってイントロダクションが始まると、カラフルなボードを持ち、赤紫、赤、黒といった鮮やかな色使いの衣装に身を包んだ不自然ガールズがまず一枚と一人現れ、画面が広がり奥行きを見せるのと同時に増殖していきます。

彼女たちが何者であり、何をイメージしたものなのか、この時点ではまだ観察者である我々には分かりません。


イントロダクションが過ぎ、あ~ちゃんが登場してソロパートが始まります。

黒髪、白い肌、ピンクの頬と唇、赤い服、黒い靴。


この時不自然ガールズはあ~ちゃんの背後に下がりボードを使って背景を作り出します。

ボードの配置には法則があります。

まず、各ボードの配色。

正方形を対角線の一つを使って二分し、三角形を二つ作り、一方を赤、もう一方をパープルにしたもの。

もう一種類は正方形の中の二つの三角形が薄緑とブルーに分けられています。


不自然ガールズがこの二種類のボードを一枚ずつ持ち、背景に下がった時に、四枚、つまり四人で一つの模様を描き出します。

パープルと、ブルーによるVの字です。

この、四枚一組によるVの字が五つあることから、この時点での不自然ガールズの数が20人であることも分かります。


これらのボードを使って、関監督が表現したかったものは何か。

雨の降る街の風景なのか、好きな人を見つけても自分からは声を掛けることが出来ない女性の心情なのか。

この時点でも、まだ判断はつきません。


あ~ちゃんのソロパートが終了するのとほぼ同時に不自然ガールズによる背景は割れ、ボードの背後に控えていたらしいかしゆかが、大きな円錐状のメガホンを持って現れ、画面奥から手前に向かって歌いながら歩いてきます。

この時かしゆかは、メガホンを縦に持ち、パープルに塗られた外周が見えるようにしています。


画面手前まで近づいたかしゆかがメガホンを持ち上げ、口に当てると、メガホンの内側の白で画面全体が一瞬占められ、すぐに崩れます。

組み合わせた両手の指が離され、開かれていくように崩れた白は、指の部分が白のまま、指と指の間に黒が生じてストライプを描き、そのまま床となります。


かしゆかが画面向かって左側に身を移し、パープルのメガホンを口に当てのっちとのデュエットのパートを歌うと、メガホンの大きく開いた口から不自然ガールズが飛び出るように現れ(薄緑2枚、赤紫3枚)白いメガホンの中に吸い込まれていきます。


白いメガホンを持っているのがのっち。

かしゆかと違ってメガホンを耳に当てています。

ここでの不自然ガールズは、女性の不安や心情が言葉になったもの、と考えることができそうです。


のっちが持っているのは、真横から見るとかしゆかのものと色違いだけのように見えますが、実は四角錐状のメガホン。

不自然ガールズが中に飛び込んでくると、耳から外して口に当て、その時に内部の配色が見えます。

内側に見えるのは、赤とパープル。

これも画面を一瞬だけ占拠しますがすぐに崩れ、赤、パープル、薄緑、ブルー、四色に分かれ、あ~かしのち、の三人が登場するサビパートの背景として三列24人の不自然ガールズに分裂していきます。



この時のボードは新たな4種類に代わっています。

ピンクとパープル、薄緑とパープル、赤とパープル、先程より薄いブルーとパープル。

模様が、正方形の三つの角を使って四分の一の円を描き、それ以外の部分がパープルに配色されていて、不自然ガールズによってハンドルを動かすように振られ、三枚を一組としてある模様が形作られます。

この形、おそらくMIKIKOさんは同色を使ってスクリューのような形にしたかったのかもしれませんが、あまりはっきりと分かるようにはボードが配置されていません。


サビのパートがリフレインされると、不自然ガールズは前へ進み出てくる組と、背後に残る組に分かれます。

まず最前一列が前に進み、続いて第二列が続き、残された第三列はやがてボードをその場に立てて残し、左右に分かれた不自然ガールズの真ん中を通ってPerfumeのメンバー三人の体に取り付き、動きを支配しようとしますが果たせずに画面の上下両手にはけていきます。


サビパートを歌い終わったPerfumeの三人が決めポーズを取ったところで、不自然ガールズとボードに取り囲まれ、一端その姿が見えなくなる。


と、ここまでが一番の歌詞に相当する映像のシークエンスとなります。


Perfumeのメンバーや不自然ガールズ、ボードに当たる照明は、スタジオでの撮影の特色がよく出ていて、全体に同じ強さで光が当てられています。

ただし、背景がずっと黒のままのため、のっぺりとフラットな印象はなく、陰影のメリハリの効いた立体的な映像として感じられるようになっています。


黒い背景の前に浮かび上がる色とりどりの衣装やボード。

関監督は、これら不自然ガールズやボードを、単なる背景やバックダンサーとしてではなく、黒(不安)の中で揺れ動く色合い(感情)のターム、つまり主人公である女性の心の中の一部として使用しているように感じます。


Perfumeの三人が身を包む赤は、好きな相手に向ける恋愛感情そのものとも考えられそうです。


となると、背景の黒も、心の中の闇、暗黒、と考えるよりは色としての黒、と捉えたほうがいいのかもしれません。


「不自然なガール」のMVの中で視覚的に表現されていることは、のっちが歌う二番の歌い出しソロパート「窓際の乙女」と名付けられた絵画のような部分を含め、ほとんど全てを感情、精神世界の出来事、として捉える解釈ができそうです。


若い女性らしい彩りも鮮やかな日常があり、恋する相手を思うことで色(感情)が揺れ動き、思うように気持ちを伝えられない苦境や不安が黒色となって背景のさらに奥で全体を覆っている。

非常に鮮やかな陰影のコントラストが、光と影、ではなく、色によって表現されているのがアートディレクター、関さんらしい映像となっているように感じました。


曲の最後で、三人がそれぞれの色合いのボードに身体を隠すように消えているのが印象的で、さらに様々な解釈を想起させます。


ある若い女性の内的世界のようでもあり、「日常の残滓」が強く出てくる夢のようでもあり。


いや~映画って本当に関監督によるPerfumeのMVって本当に面白いですね。


次回は、順調に考えがまとまれば「VOICE」編です ▽・w・▽

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YUIが頼りのハンサム日記▽・w・▽

相変わらずひまさえあれば歩き回っている。

歩く時のかけがえのない相棒i-Podには自分の好きな曲だけがぎっしりつめこんである。

最近エンドレスで聴いているアーティストがYUI。

i-Podの中に

『FROM ME TO YOU』

『CAN’T BUY MY LOVE』

2枚のアルバムの曲全部を入れ、「YUI」のプレイリストにまとめ、シャッフル&リピート、にしてず~っと聴いてる。

デビュー曲の

『feel my soul』

を聴いて、当時はMDの中に入れたりしたけど、その時には、ああ、また日本語の歌詞を洋楽っぽく歌う人が出てきたんだ、くらいの感想だった。

その後も気まぐれにMDの中にシングル曲を入れたりしていて、でも、その他大勢いるほかのアーティストの中の一人でしかなかった。

それが映画『タイヨウのうた』の主題歌

『Good-bye days』

を、聴いてまた注目するようになり

『Rolling star』

で、完全にやられた。

なんだ、最近の、売れた曲しか聴いてないんじゃん、と言われたらそのとおり。

アルバム全曲を通して聴いたのもつい最近のにわかファンです、はい。

でも、この人の歌う声が好きだ。

以前、NHKの「トップランナー」というインタビュー番組に出ていた時には、低くかすれた声でぼそぼそ、と話していた。

インタビュー自体に慣れていないのか、表情も、椅子に座っている上半身もガチガチ、いや、ガッチガチ。

でも、とにかく聞かれたことに対して懸命に答えよう、とする様子がけなげで印象に残った。

話している時のかすれた声は、聞き取りにくくすらあって、美声、とはとても言えない。

それが、歌になるとなんでこんな声になるんだろう。

歌っているときでも、この人の声はハスキーであって、美しくはない。

たとえば、夏川りみやaikoのような生まれついての歌手の声ではないし、吉田美和やMISIAのように鍛え抜かれた声とも違う。

目の前に気持ちを伝えたい相手がいて、その人だけに向けて歌っているような、心に届く声。

『Swing of lie』

『Life』

のような歌になると、耳から入ってきた声が、心さえ突き破って、身体中に散らばって痛い。

この歳で(42歳)でよかったな、と思う。
思春期あたりにこの人の歌声を聴いたら、切実過ぎて辛かっただろうから。

仕事終わりに歩いて帰るころには時間は午後の10時過ぎ。

もちろんあたりは暗くなっていて、たまに街灯や民家からの明かりが道を照らすくらいで、闇から闇を渡り歩く感じの場所もある。

田舎道で民家のすぐ近くにいきなり墓地が出現したりもして、よく考えてみれば不気味なルートも多いんだけど、好きな歌手の歌声に心を奪われながら歩いているので、恐怖心もなく、のっしのっしと歩いて家路につくことが出来る。

時間なんてあっという間に過ぎて、どれだけ歩いても、何回繰り返し曲を聴いても飽きることがない。

今は、YUIの歌声をたよりに、暗闇とぼんやりとした明かりの間を渡り歩いている。

怖いものがあるとしたら、警官の職務質問くらいだな▽・w・▽

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