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Contract between VOICE and an affected girl ▽・w・▽

10月も11日となり、Perfumeの「VOICE」が発売されてちょうど2カ月が経ちました。

さすがに上位に留まることは出来ませんが、今でも「575」と合わせた両曲ともレコチョクの様々なランキングのトップ100に入って、上下を繰り返しているようです。


もうひと月もすれば、現時点ですでに前評判の高い新曲「ねぇ」がリリースされるわけなんですが、このインターバルを使って、すでに発売されている「1053」アニバーサリーを飾る「新」三部作のうちの2曲をいろいろと比べてみようか、と思います。


今回のテーマはMV。

久々に「PVの歴史と変遷」を復活させて、両シングルCDの初回限定版に付属するDVD収録の2曲の映像を取り上げてみたいと思います。


どちらも監督が関和亮さん。

各時代のPerfumeの姿をジャケット写真やMV、あるいは写真集の中に収め、時の流れから切り離して永久保存する、チームPerfumeが誇る肖像画家のような映像作家です。


今回取り上げる2作では、関さんらしい映像表現の共通する部分と、それぞれのサウンドに対する世界観の解釈、みたいなものがよく表れていて、比較するにちょうどいいコントラストを見出すことが出来るんじゃないかと思います。


まず「不自然なガール」。

歌い出しパートでは、白と黒と赤、が配色されています。


背景の黒。三人の髪の毛の黒。黒い靴。画面に向かってストライプを描く床の模様の黒。

強調された三人の白い肌。床に描かれたストライプの白。

そして、三人が身を包む衣装とネイルの赤。


この場面ですでに関監督は、強烈な配色によるコントラストで、主人公の女性が抱える不安を描いています。

艶かしいほどの白い肌を色鮮やかな衣装でくるんでいても、彼女を取り囲むのは黒い影です。


歌い出しパートが終わってイントロダクションが始まると、カラフルなボードを持ち、赤紫、赤、黒といった鮮やかな色使いの衣装に身を包んだ不自然ガールズがまず一枚と一人現れ、画面が広がり奥行きを見せるのと同時に増殖していきます。

彼女たちが何者であり、何をイメージしたものなのか、この時点ではまだ観察者である我々には分かりません。


イントロダクションが過ぎ、あ~ちゃんが登場してソロパートが始まります。

黒髪、白い肌、ピンクの頬と唇、赤い服、黒い靴。


この時不自然ガールズはあ~ちゃんの背後に下がりボードを使って背景を作り出します。

ボードの配置には法則があります。

まず、各ボードの配色。

正方形を対角線の一つを使って二分し、三角形を二つ作り、一方を赤、もう一方をパープルにしたもの。

もう一種類は正方形の中の二つの三角形が薄緑とブルーに分けられています。


不自然ガールズがこの二種類のボードを一枚ずつ持ち、背景に下がった時に、四枚、つまり四人で一つの模様を描き出します。

パープルと、ブルーによるVの字です。

この、四枚一組によるVの字が五つあることから、この時点での不自然ガールズの数が20人であることも分かります。


これらのボードを使って、関監督が表現したかったものは何か。

雨の降る街の風景なのか、好きな人を見つけても自分からは声を掛けることが出来ない女性の心情なのか。

この時点でも、まだ判断はつきません。


あ~ちゃんのソロパートが終了するのとほぼ同時に不自然ガールズによる背景は割れ、ボードの背後に控えていたらしいかしゆかが、大きな円錐状のメガホンを持って現れ、画面奥から手前に向かって歌いながら歩いてきます。

この時かしゆかは、メガホンを縦に持ち、パープルに塗られた外周が見えるようにしています。


画面手前まで近づいたかしゆかがメガホンを持ち上げ、口に当てると、メガホンの内側の白で画面全体が一瞬占められ、すぐに崩れます。

組み合わせた両手の指が離され、開かれていくように崩れた白は、指の部分が白のまま、指と指の間に黒が生じてストライプを描き、そのまま床となります。


かしゆかが画面向かって左側に身を移し、パープルのメガホンを口に当てのっちとのデュエットのパートを歌うと、メガホンの大きく開いた口から不自然ガールズが飛び出るように現れ(薄緑2枚、赤紫3枚)白いメガホンの中に吸い込まれていきます。


白いメガホンを持っているのがのっち。

かしゆかと違ってメガホンを耳に当てています。

ここでの不自然ガールズは、女性の不安や心情が言葉になったもの、と考えることができそうです。


のっちが持っているのは、真横から見るとかしゆかのものと色違いだけのように見えますが、実は四角錐状のメガホン。

不自然ガールズが中に飛び込んでくると、耳から外して口に当て、その時に内部の配色が見えます。

内側に見えるのは、赤とパープル。

これも画面を一瞬だけ占拠しますがすぐに崩れ、赤、パープル、薄緑、ブルー、四色に分かれ、あ~かしのち、の三人が登場するサビパートの背景として三列24人の不自然ガールズに分裂していきます。



この時のボードは新たな4種類に代わっています。

ピンクとパープル、薄緑とパープル、赤とパープル、先程より薄いブルーとパープル。

模様が、正方形の三つの角を使って四分の一の円を描き、それ以外の部分がパープルに配色されていて、不自然ガールズによってハンドルを動かすように振られ、三枚を一組としてある模様が形作られます。

この形、おそらくMIKIKOさんは同色を使ってスクリューのような形にしたかったのかもしれませんが、あまりはっきりと分かるようにはボードが配置されていません。


サビのパートがリフレインされると、不自然ガールズは前へ進み出てくる組と、背後に残る組に分かれます。

まず最前一列が前に進み、続いて第二列が続き、残された第三列はやがてボードをその場に立てて残し、左右に分かれた不自然ガールズの真ん中を通ってPerfumeのメンバー三人の体に取り付き、動きを支配しようとしますが果たせずに画面の上下両手にはけていきます。


サビパートを歌い終わったPerfumeの三人が決めポーズを取ったところで、不自然ガールズとボードに取り囲まれ、一端その姿が見えなくなる。


と、ここまでが一番の歌詞に相当する映像のシークエンスとなります。


Perfumeのメンバーや不自然ガールズ、ボードに当たる照明は、スタジオでの撮影の特色がよく出ていて、全体に同じ強さで光が当てられています。

ただし、背景がずっと黒のままのため、のっぺりとフラットな印象はなく、陰影のメリハリの効いた立体的な映像として感じられるようになっています。


黒い背景の前に浮かび上がる色とりどりの衣装やボード。

関監督は、これら不自然ガールズやボードを、単なる背景やバックダンサーとしてではなく、黒(不安)の中で揺れ動く色合い(感情)のターム、つまり主人公である女性の心の中の一部として使用しているように感じます。


Perfumeの三人が身を包む赤は、好きな相手に向ける恋愛感情そのものとも考えられそうです。


となると、背景の黒も、心の中の闇、暗黒、と考えるよりは色としての黒、と捉えたほうがいいのかもしれません。


「不自然なガール」のMVの中で視覚的に表現されていることは、のっちが歌う二番の歌い出しソロパート「窓際の乙女」と名付けられた絵画のような部分を含め、ほとんど全てを感情、精神世界の出来事、として捉える解釈ができそうです。


若い女性らしい彩りも鮮やかな日常があり、恋する相手を思うことで色(感情)が揺れ動き、思うように気持ちを伝えられない苦境や不安が黒色となって背景のさらに奥で全体を覆っている。

非常に鮮やかな陰影のコントラストが、光と影、ではなく、色によって表現されているのがアートディレクター、関さんらしい映像となっているように感じました。


曲の最後で、三人がそれぞれの色合いのボードに身体を隠すように消えているのが印象的で、さらに様々な解釈を想起させます。


ある若い女性の内的世界のようでもあり、「日常の残滓」が強く出てくる夢のようでもあり。


いや~映画って本当に関監督によるPerfumeのMVって本当に面白いですね。


次回は、順調に考えがまとまれば「VOICE」編です ▽・w・▽

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